クラブ関係者、特にテクノ関係者には格闘技ファンが多い。ケンイシイ、シャッフルマスター、ラウドの石井君などなど。どちらかというとインテリなテクノ関係者に、なぜ格闘技ファンが多いのか? 理解に苦しむのだが、そういうところでバランスをとっているのかもしれない。かくいう僕は、巷の予想通り「興味なし」であり、好きでも嫌いでもない。子供の頃は、なぜかボクシングだけは好きだったのだが、大人になってからはあまりに残酷だと思うようになってしまったので、見ていない。というわけで、来年の晦日はクラブ界隈に復活しようと心に誓ったのでした。 皆様、本年はご愛読ありがとうございました。よいお年を。
今年も残り少なくなってきました。僕は今年後半、13年も続けてきたDJをお休みしました。かといって他の活動が盛んだったわけでもないので、Tipからのリリースがなければあやうく完全休業年になってしまうところでした。ラウドの編集をちょっと多めに手伝ったので、働いてはいたんですけどね。雑誌にはとても書けませんが、かけたいレコードがほとんどなかったので、DJを再開するにも再開できなかったというのが本音です。とはいえDJはやはり好きなので、来年は何か新しいスタイルに取り組んでみたいと思っているところです。
昨日の朝日新聞に僕がずっとすごいと思っているジャンポールゴルチエの記事が出ていました。ファットボーイスリムを「テクノDJ」と紹介してしまう朝日新聞の文化面を信頼してよいとは思えないのですが、本人の発言はそのまま載せているという前提で読むと、非常に面白かったです。要は「ネットでの検索は効率的に見えるが、偶然良いものを拾うことができない。バーチャルな世界は見るのによいが、面倒でも人間とコンタクトするような形のほうが、創造のための刺激が得られる」というものです。音楽の世界にもそれは当てはまるわけで、それゆえクラブミュージックは発展してこれたのでしょう。出来はさておきハウスのCDをリリースしたこともあるゴルチエらしい見解だと思いました。
雑誌の年末進行&いくつかのニュープロジェクト&私用が重なり、しばらく更新できませんでした。チェックしていただいた皆様、失礼いたしました。クリスマスシーズン真っ只中ですが、僕は実はまったく記念日重視人種でなく、「なんでこの忙しい時に、お生まれになったのよキリスト様?でも、俺キリスト教信じてないし」っていつも思ってしまう、あまのじゃくなのでした。我ながら嫌なやつっぽいですね。とはいえ、UKチャートの1位がBand Aid 20の「Do They Know It's Christmas」なのはよいことだと思います。今回のチャリティー収益はエチオピアとスーダンの難民基金に贈られるのだそうです。クリスマスがプレゼント交換と七面鳥を食べる日ではなく、世の中のことをちょっと考えなおしてみる日になっていたらキリスト様もおよろこびでしょう。
昨日、編集部でジョンディグウィードの最新MIX CDがかかってました。僕は前半しか聴いてなかったんですが、ぜんぜんプログレッシヴじゃないんですよ。どちらかというと、初期シカゴハウスやデトロイトテクノの最新ヴァージョンみたいな音で、プロッグのトレードマークだったトライバルなパーカッションやエフェクトかかりまくりのSEは皆無、かなり意外な選曲でした。冗談のような話ですが、ハウスは80年代中盤に生まれているので、もうしっかり寝かせごろ、80年代リバイバルにしっかり入り始めてます。DJ連中が80年代中盤フレイバーのシンプルハウスを取り上げだしたのは、よく考えると当たり前のことかもしれません。古いドラムマシンのチープなスネアがまたまたかっこよく聞こえる時代がやってきますよ、たぶん。
DJ Evil君がロンドンでまわしてきたそうです。彼いわく「UKは好景気で音楽は盛り上がってない。トランスやハードハウスにも勢いはないが、ハピコアは根強い」とのことです。彼はハピコアのDJなので、身内びいきに聞こえないこともないんですが、僕が思うに実際そうなんだろうと思います。なぜなら日本のハピコアファンを見ると、かなりマニアックなので、その傾向は世界中どこでも大きな違いはないと思うからです。要はトランスやハードハウスのファンはきわめて享楽的なので、景気がよければ他のことを始めてしまいますが、ハピコアファンは音楽とその周辺文化への思い入れが強いので、簡単に離れてはいかないということですね。所属意識が高いんです。マニアが多いものは安定していて、ブームになったりするものは裾野が広がっているので不安定だと言ってもよいでしょう。どっちがいいってもんじゃないんですけどね。僕は個人的には盛大に咲いて盛大に散っていくようなものがクラブでは好きです。
僕のUKの友達で中堅どころのDJエージェントで働いてる人がいるんですが、シスターブリスやBTなんていう大物はこの状況下でも5月まですでにスケジュールがフルなんですよ。意外な人気なのがブラックストロボ。このピコピコ君もフェリックスダハウスキャットと並んで5月まで週末はすべていっぱい。かといって、テクノが人気かというとそうでもないようで、超有名なのにかなりあいている人がいます。USハウスやプログレッシヴも、かなり有名な人がまだあいてたりします。ギャラとも関係あるんでしょうが、ちょっと名前がある人は半年先までいっぱいという状況じゃないことはたしかです。ここで思うのは、世代交代がおきそうだということです。日本でも世代交代はここ2,3年でかなり進行したと思っているのですが、こういうシーンが不安定な時、新人にはチャンスがあるので見逃さないようにしてもらいたいものです。盛り上がっている時に、いきなり参入しようとしてもできないものですからね。
そろそろいろんなところで年間ベストが発表される時期です。特にショップのベストに僕は注目しているのですが、専門店のアナログチャートは実際に売り上げた枚数を反映している印象で、人気もわかるので非常に参考になります。一方で、まったく参考にならないのが意外なことに大型輸入盤店のチャート。僕にはあれはバイヤーさんの趣味&売れ残り方チャートに見えてしまうんですよ。上位5位くらいまでは、実際に売れ行きを反映してると思うんですが、それ以下は「ひょっとして現時点でさばかなきゃいけない在庫チャート?」と思えてしまう。まあ、売れ枚数チャートだとしたら、1月リリースが圧倒的に有利になってしまうし、12月リリースはほとんどランクインできないわけで、実は年間チャートは回転の早い12インチ以外の部門では個人の裁量でしかつくれないわけです。そうなると、そのチャート作成者がソウル好きなら、テクノは石野卓球だろうがジェフミルズだろうが低いところにしか入れないし、今年バカ売れだった「TRANCE RAVE」シリーズは無視、なんてことになるわけです。みんなが信じている年間ベストは信憑性に疑問大というおそろしい話でした。同じことは各ショップのレビューにも言えるわけで 「このショップはテクノに評価が甘くて、ユーロトランスに厳しい」とか、ざらにあります。こんな話、ラウドではとても書けないなー。本当は大事なのはバランス感覚だと思うんですけどね。。。。。
次号のラウドに独占で富家さんとジョンディグさんの対談がのるのですが、非常におもしろいです。このblogは業界の人が結構読んでくれてるのですが、特におもしろく読めると思います。僕は今年に入ってアナログレコードを全廃、オールCDに変えました。このコーナーでもCDを使えCDを使え、質より便利さだってうるさく言っておりますが、その辺の話題や、ダウンロードに関する話題などが、ほぼシンクロしております。かなり近い将来、DJブース内でターンテーブルの位置がCDプレイヤーの位置と逆転しますよ、間違いなく。こういう変化は加速度的なものなのです。あと、HEXSTATICのインタビューもあるんですが、そこで次の展開を確信しましたね。こちらはまだ5、6年以上先のことだと思いますが、音楽に映像がついてるのが普通になると思われます。準備はいいですかー?
「The Time Machine」、ついに出ましたね!昨日UKから送られてきたので、「おお!」と思ったら、すでにラウド編集部の机の上には正規盤が。。。。。そういえば、ラジャは「あまりにコピーする人が多いので、リリース前には配れないんだ」って言ってましたー。「DJセットを勝手に録音してネットに流すやつまでいるんだよ」とも言ってました。アーティストにとって作品やパフォーマンスは自分の子供のようなもの、勝手にクローンをつくってはいけませんね。「The Time Machine」、とてもよいです。向こう一年間にわたってフルオンサイケのみなさんにヘビープレイされること必至。最高峰の一つですなー。次号のラウド連載にはこのアルバムについてのインタビューがのりますので、よろしくです。