ヨーロッパでは2,3年前にクラブバブルが崩壊、そこからダンスミュージックとクラブは下降局面にあります。シーン自体のピークは2000年前後だったと思います。これからはロックのように初期のスピリットを失いながらマス化する方向と、趣味でやっているような初期衝動のみのアンダーグラウンドに二分されていくと思いますが、前者はマーケットの拡大という意味ではよりメジャーな展開になるでしょうから、意外におもしろいと思います。もはやクラブカルチャーではなくなってしまうので、クラブカルチャーという響きが時代遅れなものになっていく予感さえします。後者は実は微妙で、大きなムーブメントになるようなものが再びこのシーンから生まれるには、テクノロジーの変化が必要でしょう。たとえば、鼻歌をマイクからコンピュータにとりこんで、その波形をいじれば、誰でも簡単に思い通りの曲がつくれるようになるソフトとかですね。要は誰もが簡単にできることで、なおかつ斬新に感じられるものからしか、大きなムーブメントは起きないと思うんです。そういう意味でCDJは、テクニカルな意味でDJをより簡単にしたわけで、まだまだ潜在的可能性を秘めていると思います。また、CDJの最も脅威すべき競合はDJソフトであり、これが普及し始めるとおそろしいことがおきると思います。いずれにしろ鍵をにぎるのはソフトでしょう。