あまり大きな動きがなくなっているクラブミュージック・シーンですが、そんな中で’80年代ニューウェイヴが盛り上がりつつあるように思います。エレクトロクラッシュって言ってしまえばそれまでですが、もっとダイレクトにデペッシュ・モードとかヒューマン・リーグがいい感じってことですね。一世を風靡したクリエイション・レーベルのアラン・マッギーは、今DJをやってますし、最近復活したソフト・セルのマーク・アーモンドもDJをやってます。当然ミックスもスクラッチもないんですが、誤解をおそれずに言ってしまえば、無いのが最先端なんですよ。選曲家に近いですね。なんでこういうことになっているかと言うと、これは単純明快で、レア・グルーヴ・リヴァイヴァルが起きてるわけです。80年代中盤のレア・グルーヴ・ムーヴメントは70年代のソウルやファンクを対象に起きてますが、80年代ネタは寝かせごろになるのにちょっと時間がかかったのだと僕は思います。90年代を制覇したDJカルチャーへのカウンターカルチャーとしても機能するので、最先端を自称する人はみな飛びつくわけです。評論家DJには最大のチャンスだと思うのですが、こうした動き自体は短命に終わるでしょう。スキルの無いDJがおもしろく聞こえるのはほんの一瞬で、毎回新しく聞こえる選曲を古いディスクで続けていくことは不可能ですから。