DJカルチャーの先行きが暗いようなことばかり書いてきたので、明るいお話を。ターンテーブルがあと数年でCDプレイヤーなどデジタルものに変わっていくということはほぼ確実なのですが、これは技術的に大きな変革です。従来は「ピッチをあわせる」「頭出しをする」という二つの作業が、DJが手がける全作業の30%位だったわけですが、ここはメモリーチップと仕込みによって限りなくゼロに近づけることができます。基本的にピッチあわせは、誰でも瞬時にできるようになってしまうので、ロングミックスを売りにするようなDJスタイルは急速にすたれることでしょう。変わって台頭してくるのが、複数台(4台以上)のプレイヤーを使って、その場で曲を構成していくようなDJスタイルと思われます。ミックス自体は飛躍的に簡単になるので、誰でもジェフミルズになれるわけですが、そこでDJはいかに自分のデジタルデータ(曲)をかけるかが問われるわけです。エフェクトを使う余裕も出てくるでしょうし、ミックスには今までよりはるかに時間がとれるようになるので、新たなDJスタイルの創造も容易になります。今からDJを始めようという人は、ぜひその辺を考えて、最初からできるだけ多機能なデジタルプレイヤーでスタートすることをおススメします。今現役でDJをやっている人は、残念ながらターンテーブルのピッチあわせやロングミックスという、時間をかけて習得した職人技にはあまり意味がなくなる日が来ることを想定しなくてはなりません。