ジョージソロスには「英国銀行に買った相場師」とか「マレーシア通貨危機の張本人」といった悪そうなイメージがありますが、彼は悪循環に陥っている世界を良い方向に持っていこうとしている数少ない善人であると僕は考えており、大変尊敬しています。彼が途上国に行っている慈善事業は膨大な金額であり、その目指すところもオープンソサエティーという明快なものです。彼の理論はちょっと難解なので、ここでは説明しませんが、そんな彼が「ブッシュへの宣戦布告」という本を出しました。お世辞にもおもしろいとは言えない本ですが、強欲、暴君がまかり通る世界にこんなまっとうな人間がいたのかと思うことしきりです。ハンガリーでナチスの迫害を受けたことが彼の思想の根底にはあるのですが、思えばアメリカは建国時から暴力によって問題を解決することができるというとんでもない考えでここまでやってきました。ブッシュの基本的考え方はこうです「アメリカは世界でもっとも成功した国だから、そのやり方を世界におしつける権利がある。そのためには先制攻撃も辞さない」。ソロスはそうは言いませんが、これは冷静に考えるとナチスと同じ考え方です。ソロスは相場における資本主義の歪みからかき集めた資金で、こうした悪に対抗しているわけで、これほどやりがいのある仕事はないでしょう。将来はソロスのようにになりたいとまじめに思うのでした。ちなみにミュージシャンではU2のボノが貧困国の債務問題やエイズ問題などで積極的に活動しており、ちょっとソロスに似ています。もちろん僕はU2のファンでもあります。