音楽評論家の話が出たとこで、ラウドと他の音楽雑誌はどこが違うかってお話を。これは、単純明快なんです。ラウドは、DJ、クリエイター、パーティーオーガナイザーなど現場の視点からつくられている雑誌です。社長の僕はDJ、クリエイターが本業で、オーガナイザーも経験していますし、現場スタッフも少なくともパーティーオーガナイズは会社の仕事として経験するようにしています。他の音楽雑誌は音楽評論家、リスナーなど第三者の視点からつくられています。どちらが良いというわけではないんですが、そのくらい大きな違いがあるってことです。だから、ラウドには現場に対して否定的な記事がのることはありません。現場で起きていることを的確に伝えるのが仕事です。一方で、音楽評論家やライターは自分の主観を主張することでその仕事を成立させているわけですから、二律背反的論法は簡単につかえる強力な武器です。結果的に、何かを否定して何かを持ち上げることは頻繁に行われています。極論すると「トランスのようなドラッグまみれの安っぽい音楽ではなく、リーペリーのダブの深さを聴け」みたいなことを平気で言うわけです。それを面白いと思うか、ばかげていると思うかで、どちらの雑誌を選ぶかが決まってくるんですが、僕はばかげていると思ったのでラウドを始めたわけです。僕が見る限りラウドと同じスタンスの雑誌は一誌もなく、それが10年続けてこれた理由だと思っています。基本には「音楽評論は不毛だ。なぜなら文字から音は聴こえてこないからだ」という思想があって、ラウドは読者がCDを買ったり、パーティーに行ったりするきっかけをつくるものだと考えています。そういえば、10年位前QUICK JAPANの有名な編集長さんに会った時、「音楽評論は不毛だ」という話をしたことがありました。その時、彼は編集者なので、てっきりこんな話をして怒っているかなぁと思ってたんですが、何年かして「音楽雑誌なんかいらない!」って号が出て、びっくりした記憶があります。そのやり玉にうちが入っていなかったのは、彼が僕の言ったことを覚えていてくれたからなのかなぁと思ったりもしました。