音楽業界内ではすでに参議院を通過している輸入盤規制法案が話題で、これに反対する署名が坂本龍一さんらミュージシャン、ピーターバラカンさんら音楽評論家から700人近くも集まっています。もともとはアジア諸国の安価な邦楽CDが日本に逆輸入されて、日本盤の売り上げを圧迫していることから、これを防ぐ目的の法案だったらしいんですが、あらゆる輸入盤に適用可能ということで問題になっているわけです。つまり洋楽のヨーロッパ盤やアメリカ盤の輸入を規制対象にすることもできるわけですね。結果的に買いたいCDがなかなか手に入らない、もしくはめちゃくちゃ高いなんてことになるかもしれません。そんな法案を通してなるかという運動が今行われているわけです。
僕のところにも署名の依頼が来ました。が、署名しませんでした。なぜなら、僕はこの問題はもっと根が深いと考えているからです。大手、インディーを問わず、レコード会社は今CD売り上げの減少に苦しんでいます。原因はおそらく二つで、一つは言われているアジアからの安価なCDの還流。この本当の意味は、世界中には僕らの一ヶ月分の生活費で一年生活できる人がたくさんいるということです。物価の格差、ひいては生活レベルの格差が大きいからこのようなことになるわけで、それをほったらかしにしているということなんです。もうひとつはCD-Rでの違法コピー。これは最終的に音楽がCDという形で聴けなくなる、アーティストはそれで生活することができなくなってしまう可能性の高い行動をみんなが平気でしているということです。この二つを解決しない限り、音楽産業はにつまってしまうでしょう。結果的にリリースタイトルは減り、買いたいCDが邦盤輸入盤問わずリリースされないという根本的な問題になりかねません。
なぜ、そんな法案が出てきてしまったのか?それを考えると、輸入盤規制反対という題材があまりにもちっぽけに見えてしまい、とても署名する気になれないのでした。